ヤドカリの貝殻の上で暮らす新種のイソギンチャクを日本付近の深海で発見したと、熊本大学などの研究チームが発表しました。このイソギンチャクはヤドカリの貝殻を大きくする能力を獲得しているとみられ、共生関係による進化の事例として注目されています。
熊本大学などの研究チームは、三重県や静岡県の沖合の水深200メートルから500メートルの深海で、ヤドカリの貝殻に付着するイソギンチャクを採取し、遺伝子などを詳しく調べた結果、新種と分かったということです。

研究チームが深海に近い環境で飼育して撮影した映像では、ヤドカリの貝殻の上で花びらが開くように、イソギンチャクが桃色の触手を広げる様子が確認できます。
研究チームは、万葉集の和歌にある、淡い桃色を意味する「桃花褐(つきそめ)」ということばにちなみ、このイソギンチャクを「ツキソメイソギンチャク」と名付けました。

ツキソメイソギンチャクは特定のヤドカリの貝殻の上で暮らし
▽ヤドカリのふんを餌にしている可能性がある一方で
▽ヤドカリが成長しやすいように、分泌物を出して巻き貝を大きくする能力を獲得しているとみられるということです。

熊本大学の吉川晟弘准教授は「互いにメリットがあるように共に進化してきたと考えられる。広い海でパートナーを見つけるメカニズムなどをさらに明らかにしたい」と話しています。